労務安全情報センター[ブログ]

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労働契約法20条正社員と有期契約社員との処遇格差をめぐる最高裁判決

2018.06.16
2018.6.1、労働契約期間の定めの有無による不合理な労働条件格差を禁じた労働契約法20条の判断をめぐって争われた2事件に対する最高裁判決が示された。
以下は、2事件の判決概要です


1 長澤運輸事件
 (正社員と職務内容が同じ定年後再雇用者に対する賃金・賞与格差の違法性が争われた事件)

最高裁第二小法廷
判決のポイント


1) 事業主は,高年齢者雇用安定法により,60歳を超えた高年齢者の雇用確保措置を義務付けられており,定年退職した高年齢者の継続雇用に伴う賃金コストの無制限な増大を回避する必要があること等を考慮すると,定年退職後の継続雇用における賃金を定年退職時より引き下げること自体が不合理であるとはいえない。また, 定年退職後の継続雇用において職務内容やその変更の範囲等が変わらないまま相当程度賃金を引き下げることは広く行われており,被上告人が嘱託乗務員について正社員との賃金の差額を縮める努力をしたこと等からすれば,上告人らの賃金が定年退職前より2割前後減額されたことをもって直ちに不合理であるとはいえず,嘱託乗務員と正社員との賃金に関する労働条件の相違が労働契約法20条に違反するということはできない。

2) 労働契約法20条は,有期契約労働者と無期契約労働者との労働条件の相違が不合理と認められるものであるか否かを判断する際に考慮する事情として,「その他の事情」を挙げているところ,その内容を職務内容及び変更範囲に関連する事情に限定すべき理由は見当たらない。有期契約労働者が定年退職後に再雇用された者であることは,労働契約法20条にいう「その他の事情」として考慮されることとなる事情に当たると解するのが相当である。

3) 有期契約労働者と無期契約労働者との個々の賃金項目に係る労働条件の相違が不合理と認められるものであるか否かを判断するに当たっては,両者の賃金の総額を比較することのみによるのではなく,当該賃金項目の趣旨を個別に考慮すべきものと解するのが相当である。

最高裁判決文
→ http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=87785





2 ハマキョウレックス事件
 (正社員と職務内容が同じ契約社員に対する諸手当の格差について違法性が争われた事件)

最高裁第二小法廷
判決のポイント


1 労働契約法20条は,労働条件の相違が同条に違反する場合であっても,同条の効力により当該有期契約労働者の労働条件が比較の対象である無期契約労働者の労働条件と同一のものとなるものではない。

2 同条にいう「期間の定めがあることにより」とは,労働条件の相違が期間の定めの有無に関連して生じたものであることをいうものと解するのが相当である。

3 個別手当の判断においては以下の判決
  イ 契約社員に対して不支給または支給格差が設けられていた無事故手当、作業手当、給食手当、通勤手当について不合理な労働条件の相違とした高裁判決を支持。
  ロ 高裁判決で棄却された皆勤手当の格差について、最高裁は「出勤する者を確保することの必要性については、職務の内容によって両者の間に差異が生ずるものではない」として不合理な格差と認定。

最高裁判決文
→ http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=87784


[編注、コメント]

 「高年齢者雇用安定法」が施行され、雇用社会において(雇用優先、処遇任意の大枠方針が)先行実施されている中での最高裁判決であるから、当該法律の違法性に踏み込むことはできず、(言ってみれば)最高裁らしい判決だ。

 全体としての処遇差については不合理性を認めないとする前提の元で、各手当については、
 正社員と有期契約社員で、当該手当を個別に判断して、支給理由や趣旨から両者の間に差異を設ける理由がないようなものは、「不合理」とする判断する。
 波風の立たない最高裁判決であった。



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「職場情報総合サイト」 2018年9月末に公開予定

2018.06.02
厚生労働省が、「職場情報総合サイト」を2018年9月末に公開予定である。
https://shokuba.mhlw.go.jp/published/index.htm

掲載の内容では、「採用状況、働き方、女性活躍、育児・仕事の両立、能力開発に関する情報」等が予定されている。

例えば、「勤務実態に関する情報」だけでも、以下のような項目の開示が予定されているという。

勤務実態に関する情報

基本情報

平均継続勤務年数(男女別)
正社員の平均継続勤務年数
男女別採用10年前後の継続雇用割合
従業員の平均年齢
36協定及び特例時の上限
月平均所定外労働時間
雇用管理区分毎の月平均の法定時間外労働時間と法定休日労働時間の合計
対象労働者全体の月平均の法定時間外労働時間と法定休日労働時間の合計
フルタイムの労働者等1人あたりの各月ごとの時間外労働及び休日労働の合計時間数
平均の法定時間外労働60時間以上の労働者の数
正社員の有給休暇取得日数
対象の労働者全体の有給休暇取得率

女性の活躍に関する情報

労働者に占める女性労働者の割合
係長級にある者に占める女性労働者の割合
管理職に占める女性の割合
女性管理職人数
管理職全体人数(男女計)
直近3事業年度における男女別の課長級より一つ下の職階から課長級に昇進した割合
役員に占める女性の割合
女性役員人数
役員全体人数(男女計)

育児・仕事の両立に関する情報

育児休業対象者数(男女別)
育児休業取得者数(男女別)
育児休業取得率(男女別)
育児休業取得実績
育児目的休暇制度の具体的内容
3歳から小学校就学の始期に達するまでの子を育てる労働者のために実施している短時間勤務制度等の措置の内容
公表前事業年度において看護休暇を取得した男性労働者数
公表前事業年度において短時間勤務制度等を子の養育のために使用した男性労働者数
公表前事業年度において育児目的休暇制度を15歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子又は小学校就学前までの孫のために利用した男性労働者数
所定外労働削減のための措置の内容
年次有給休暇取得促進のための措置内容
短時間正社員制度、在宅勤務、テレワークその他の働き方の見直しに資する多様な労働条件の整備のための措置の内容
出産女性の継続在籍割合
育休・育児を行う女性労働者の能力向上・キャリア形成支援のための取組に係る計画の内容、実施状況
公表前々事業年度において出産した女性労働者数に対する、公表前事業年度に在職している又は在職していた女性労働者数の割合
公表前々事業年度において出産した女性労働者数及び公表前々事業年度において出産予定であった女性労働者のうち退職した女性労働者数の合計数に対する公表前事業年度に在職していた女性労働者数の割合


[編注、コメント]

実際の使用勝手を確認してみたい、と思うような掲載項目が盛り沢山。オープンが待ち遠しく感じられる職場情報の提供サイトだ。



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平成28年労働基準監督年報から

2018.05.28
平成28年労働基準監督年報から


28年労働基準監督年報

労働基準法制定後第 69 回の労働基準監督年報をここに公にする。本年報は平成 28年の労働基準行政の活動状況を収録したものである。


(以下抜粋紹介)

第 1 節 事業場監督
平成28年中に、労働基準監督官が事業場に赴き、監督を実施した件数は、169,623件であり、その内訳は、定期監督等(毎月一定の計画に基づいて実施する監督のほか、一定の重篤な労働災害又は火災・爆発等の事故について、発生直後にその原因究明及び同種災害の再発防止等のために行う監督を含む)が134,617件、申告監督(労働者等からの申告に基づいて実施する監督)が21,994件、再監督(定期監督、申告監督の際に法違反を指摘した事業場のうち、一定のものについて法違反の是正の有無を確認するために行う監督)が13,012件となっている。


1.定期監督等(災害時の監督を含む)
平成28年中に定期監督等を実施した事業場数134,617件を業種別にみると、建設業が44,279件と最も多く、全体の32.9%を占め、次いで製造業36,107件(同26.8%)、商業16,714件(同12.4%)、運輸交通業7,779件(同5.8%)、保健衛生業7,450件(同5.5%)の順となっている。
以上の監督実施事業場のうち、何らかの法違反があったものは、89,972件で違反率は66.8%となっている。
これらの違反事業場における法違反の内容を法条項別の違反率でみると、労働時間に関する違反率が31.5%で最も高く、次いで安全基準26.3%、健康診断21.9%、割増賃金20.9%、労働条件の明示15.3%、賃金台帳11.3%の順になっている。


2.申告監督
平成28年中に取り扱った申告件数は、29,773件(前年からの繰越しが4,073件、当該年中の新規受理が25,700件)であり、このうち、当年中に完結した件数は25,757件である。
新規に受理した申告を申告条項別にみると、賃金不払が21,700件で最も多く、新規受理件数の84.4%を占め、次いで解雇の3,831件(同14.9%)の順となっている。
これらの申告について、被申告事業場に対し申告監督を実施した件数は、申告取扱総数の73.9%に当たる21,994件で、これを業種別にみると、商業3,722件(全体の16.9%)、建設業3,512件(同16.0%)、接客娯楽業3,259件(同14.8%)、その他の事業2,962件(同13.5%)、保健衛生業2,452件(同11.1%)の順となっている。


3.再監督
平成28年中に再監督を実施した事業場数は、定期監督及び申告監督等により法違反の認められた105,573事業場の12.3%に当たる13,012件となっている。


4.使用停止等処分
平成28年中において労働者を就業させる事業の建設物、寄宿舎あるいは設備、原材料等が安全及び衛生に関する基準に違反する等の場合に、労働災害を未然に防止する見地から労働基準監督署長等が行った使用停止等命令処分等処分件数は、5,286件であり、その内訳は、使用停止等処分が5,284件、緊急措置命令が2件となっている。
また、使用停止等処分事業場を業種別にみると、建設業が3,263件、製造業が1,707件であり、この2業種で全体の94.1%を占めている。


5.司法処分
平成28年中に、労働基準監督官が司法処分として検察庁に送検した件数は、890件であり、その内訳は、労基法違反が380件で全体の42.7%を占め、安衛法違反が497件(同55.8%)、最賃法違反が13件(同1.5%)となっている。
これを業種別にみると、建設業が309件で全体の34.7%を占め、製造業210件(同23.6%)、商業75件(同8.4%)、運輸交通業66件(同7.4%)の順となっており、また、工業的業種計では594件(同66.7%)、非工業的業種計では296件(同33.3%)となっている。



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賃金引上げに向けた生産性向上の事例集

2018.05.23
賃金引上げに向けた生産性向上の事例集

 厚生労働省は2018.5.17 飲食業・宿泊業など「生活衛生関係営業 生産性・収益力向上の取組事例集〜賃金引上げのヒント〜」ほかを作成。業務効率化を通じて賃上げを展望しようとする試み。
→ http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000206098.html

飲食宿泊業生産性向上事例集
  ( ↑ クリックすると拡大表示ができます)


[編注、コメント]

事例一つ一つの掘り下げが浅く、実例としての取りまとめとしてはあまり参考にならないように思えた。言って見れば「ヒント集」である。



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ハンドブック「知って役立つ労働法~働くときに必要な基礎知識」

2018.05.13

ハンドブック「知って役立つ労働法~働くときに必要な基礎知識」

知って役立つ労働法

下記URLからダウンロードができます。
http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=243355

本冊子は、厚生労働省が、就職を控えた学生や若者向けに作成したハンドブック『知って役立つ労働法~働くときに必要な基礎知識~』である。
厚労省はこのハンドブックについて、「版権フリーですので、学習や研修などでご活用下さい」として、各方面での活用を推奨している。



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