労務安全情報センター[ブログ]

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裁判例の記事一覧

割増賃金相当額を歩合給から控除する賃金規則の有効性(最高裁判決)

2017.04.11
国際自動車事件

最高裁第三小法廷は2017.2.28、国際自動車事件を東京高裁に差し戻した。

裁判の争点  割増賃金相当額を歩合給から控除する賃金規則の有効性
最高裁    公序良俗違反とした原審判断は法令解釈に誤りがある(当然には無効でない)

最高裁第三小法廷
国際自動車事件
一審 東京地裁
二審 東京高裁
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/544/086544_hanrei.pdf

2017.2.28判決
(判決要旨)
判決ポイントは要旨つぎのようなものです。

(1)  使用者が,労働者に対し,時間外労働等の対価として労働基準法37条の定める割増賃金を支払ったとすることができるか否かを判断するには,労働契約における賃金の定めにつき,それが通常の労働時間の賃金に当たる部分と同条の定める割増賃金に当たる部分とに判別することができるか否かを検討した上で,そのような判別をすることができる場合に,割増賃金として支払われた金額が,通常の労働時間の賃金に相当する部分の金額を基礎として,労働基準法37条等に定められた方法により算定した割増賃金の額を下回らないか否かを検討すべき(である。)

  他方において,労働基準法37条は,労働契約における通常の労働時間の賃金をどのように定めるかについて特に規定をしていないことに鑑みると,労働契約において売上高等の一定割合に相当する金額から同条に定める割増賃金に相当する額を控除したものを通常の労働時間の賃金とする旨が定められていた場合に,当該定めに基づく割増賃金の支払が同条の定める割増賃金の支払といえるか否かは問題となり得るものの,当該定めが当然に同条の趣旨に反するものとして公序良俗に反し,無効であると解することはできないというべきである。

併せて

(2)  労働基準法37条は,使用者に対し,法内時間外労働や法定外休日労働に対する割増賃金を支払う義務を課しておらず,使用者がこのような労働の対価として割増賃金を支払う義務を負うか否かは専ら労働契約の定めに委ねられているものと解されるから,被上告人らに割増賃金として支払われた金額が労働基準法37条等に定められた方法により算定した割増賃金の額を下回らないか否かについて審理判断するに当たっては,被上告人らの時間外労働等のうち法内時間外労働や法定外休日労働に当たる部分とそれ以外の部分とを区別する必要があるというべきである。



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じん肺管理区分の原告が死亡後も「遺族が裁判を継続できる」

2017.04.11
じん肺管理区分
原告の死亡と遺族による裁判継続


最高裁第一小法廷2017.4.6判決
一審 福岡地裁
二審 福岡高裁

じん肺管理区分決定処分取消等請求事件

判決  「継続を認めなかった二審福岡高裁判決を破棄」

理由  「管理1に該当する旨の決定を受けた労働者等が当該決定の取消しを求める訴訟の係属中に死亡した場合には,当該訴訟は,当該労働者等の死亡によって当然に終了するものではなく,当該労働者等のじん肺に係る未支給の労災保険給付を請求することができる労災保険法11条1項所定の遺族においてこれを承継すべきものと解するのが相当である。」
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/671/086671_hanrei.pdf




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「妊娠中の退職=合意は無効」

2017.02.28
裁判例
「妊娠中の退職=合意は無効」


2017.1.31東京地裁判決
判決文によると、
「(建設会社勤務の)女性(31)は2015年1月に妊娠が判明。
建築現場での仕事が難しいと判断した会社側の提案で関連企業で1日だけ働いた。女性は職場が遠いとして休み、別の職場を希望したが、約4カ月後に建築会社から「退職扱いになっている」との連絡を受けた。
会社側は関連企業で就業した時点で退職に合意していたと主張したが、荒木裁判官は「退職届の受理など具体的な手続きがなく、女性は産後復帰の可能性がないと理解する機会がなかった」として退職の合意はないと判断した。(2017.2.3付け日本経済新聞朝刊記事から一部抜粋)


[編注、コメント]

 「(妊娠中の退職=合意退職では)当該合意が自由意志に基づくものか」が争点になるが、本件では、会社の取り扱いが「これ幸い」的な感じもあり、少々、無理筋だったのだろう。
 妊娠と退職・解雇をめぐっては、改正均等法、最高裁判例等も出ており、企業の労務管理も見直しが迫られている!



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「定年後再雇用での賃金減額は一般的で、社会的にも容認されている」-東京高裁

2016.11.08
「定年後再雇用での賃金減額は
一般的で、社会的にも容認されている」

東京高裁判決

 2016.11.2、東京高裁は、定年後に再雇用されたトラック運転手3人が、同じ仕事をしているのに賃金を3割引き下げられたのは違法として訴えていた事件で、一審の東京地裁判決を取り消しす逆転判決を言い渡した。


以下は時事通信が2016.11。2配信した記事です。

[判決要旨]

 「定年後に嘱託社員として再雇用されたトラック運転手3人が、職務内容は同じなのに賃金を約3割引き下げられたのは違法として、勤務先の運送会社「長沢運輸」(横浜市)に是正を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁(杉原則彦裁判長)は2日、引き下げは違法として差額の支払いなどを命じた一審東京地裁判決を取り消し、原告の訴えを棄却した。

 杉原裁判長は「定年後再雇用での賃金減額は一般的で、社会的にも容認されている」と述べた。
原告側弁護団は「減額が一般的だとしても、通常は職務内容や責任が変わっている。『社会的に容認』とする根拠は何もない」と批判しており、上告する方針。

 判決によると、3人は長沢運輸で長年、正社員としてセメント輸送に従事。60歳で定年を迎えた後は、1年ごとの嘱託社員として再雇用されたが、賃金を引き下げられた。

 2013年施行の改正労働契約法20条は、有期雇用社員と正社員との間で、労働条件の不合理な格差を禁じている。一審は、定年後の再雇用社員に同条の適用を初めて認めた判決として注目されていた。

 長沢運輸の話 会社の主張が正当に認められたと理解している。」(時事通信)


 [編注、コメント]

 高年齢者雇用安定法において、65歳までの雇用の維持を最大の狙いに、処遇は企業に対して柔軟な対応を認めた趣旨に照らせば、大筋において、妥当な判決ではある。



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「定年退職後の再雇用の職種として事務職に清掃業務を提示」=継続雇用の実質を欠く

2016.10.18
以下は、2016.9.29共同通信の配信記事。

記事タイトル
 「事務職に清掃業提示は違法 トヨタに賠償命令、高裁

判決概要
 「トヨタ自動車で事務職だった元従業員の男性(63)が、定年退職後の再雇用の職種として清掃業務を提示されたのは不当として、事務職としての地位確認と賃金支払いを求めた訴訟の控訴審判決で、名古屋高裁(藤山雅行裁判長)は28日、請求を棄却した一審判決を一部変更し、約120万円の賠償を命じた。地位確認は認めなかった。

 裁判長は判決理由で、全く別の職種の提示は「継続雇用の実質を欠き、通常解雇と新規採用に当たる」と判断。高齢者の継続雇用を巡る裁判で企業の賠償責任が認められるのは異例。

 トヨタ自動車は「主張が認められず残念。今後の対応は判決を精査して判断する」としている。」[共同通信]


[編注、コメント]

 高年齢者雇用安定法の運用面で違法性を問う訴えに対する判決が、徐々に出てくる時期に入ってきたようだ。
 単に、年金支給時期の繰り上げに応じて、65歳までの「継続雇用」が確保されれば、処遇条件は柔軟に対応して可。というのが法の趣旨ではあるが、継続雇用が確保されれば、他はすべて企業の事由に任せる趣旨ではないとする考えの判決である。
 事務職に、清掃業務を提示? 共同通信の配信記事からは事件の背景までは読めませんが、、、。



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