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裁判例の記事一覧

「イビデンセクハラ対応事件」親会社に信義則違反はない!(最高裁)

2018.04.12
「イビデンセクハラ対応事件」
親会社に信義則違反はない!
(最高裁)


判決日 平成30年2月15日
事件 イビデンセクハラ対応損害賠償請求事件
事件番号 平成28(受)2076
最高裁第一小法廷


(事実関係)
被上告人(被害者)は、イビデン㈱(親会者)の子会社㈱イビデン・キャリアテクノ(勤務先会社)の契約社員として、同じ事業場内で就労していた他の子会社の従業員(加害者)から、繰り返し交際を要求され、自宅に押し掛けられるなどしたことにつき、勤務先会社の上司に被害相談をしたが、何らの措置も講じてくれないことから、勤務先会社を退職した。
(なお)、被害者の退職後も加害者の付きまとい行為が続いたことから、被害者の元同僚で勤務先会社に勤務する契約社員が、親会社の相談窓口に対し、被害者及び加害者から事実確認等の対応をしてもらいたいと依頼した。
これに対して、親会社では、子会社を介して加害者の聞き取り調査は行ったが、子会社から事実が存在しないとの報告を受けたことを踏まえて、被害者に対する事実確認を行わなかった。
親会社の対応について、信義則上の義務違反の有無が争われた。



(最高裁判決のポイント)
→ 破棄自判、親会社が逆転勝訴

彼上告人は(勤務先会社に雇用されその指揮命令の下で労務を提供していたというのであり、)上告人が彼上告人に対し指揮命令権を行使する立場にあったとか、被上告人から実質的に労務の提供を受ける関係にあったとみるべき事情はない。
以上によれば、・・・勤務先会社が本件付随義務に基づく対応を怠ったことのみをもって、親会社の被害者に対する信義則上の義務違反があったものとすることはできない。
もっとも、

親会社上告人には、「本件グループ会社の事業場内で就労した際に、法令等違反行為によって被害を受けた従業員等が、本件相談窓口に対しその旨の相談の申出をすれば、上告人は、相応の対応をするよう努めることが想定されていた(から)、・・申出の具体的状況いかんによっては、当該申出をした者に対し、当該申出を受け、体制として整備された仕組みの内容、当該申出に係る相談の内容等に応じて適切に対応すべき信義則上の義務を負う場合があると解される。」
しかし、本件は結論として、(在職中の行為は相談申立をしておらず、)また、申立のされた退職後の行為は、被上告人が既に退職し加害者と同じ職場では就労しておらず、行為から8ヶ月以上が経過していたことから、上告人の信義則の義務違反が否定されるところとなったもの。


[編注、コメント]

親会社が子会社及び被害者に対し、「指揮命令権を行使する立場にあったとか、被上告人から実質的に労務の提供を受ける関係にあったとみるべき事情はない。」と認定した以上、関連義務違反は生じない、という結論になる。
むしろ、本件では、最高裁が、「(本件)申出の具体的状況いかんによっては、当該申出をした者に対し、当該申出を受け、体制として整備された仕組みの内容、当該申出に係る相談の内容等に応じて適切に対応すべき信義則上の義務を負う場合があると解される。」と判示したことの方が注目される。



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家族介護が必要な従業員の転居伴う配転に無効判断

2018.03.05
家族介護が必要な従業員の
転居伴う配転に無効判断

2018年2月26日東京地裁判決


以下、朝日新聞、読売新聞、労働新聞の記事を元に要約しました。

 転居を伴う配置転換を命じられた後、休職したり適応障害を発症した労働者7人が、中小企業の保険業を行う一般財団法人あんしん財団(東京都新宿区)に対し慰謝料などを求めた訴訟で、東京地方裁判所(江原健志裁判長)は、2018年2月26日、7人のうち女性4人について人事権濫用を認めた。
 それぞれにつき慰謝料と弁護士費用計110万円の支払いを命じている。
 7人中女性4人は、平成27年3月埼玉支局から北海道支局など、転居を伴う配転を命じられた。4人は配転命令後、適応障害などを発症して休職。実際に配転に応じないまま、7月、配転命令は撤回された。
 就業規則には転居を伴う異動があることは明記されていたが、女性4人(独身)には介護が必要な家族がいた。
 判決は、「家族の介護など、個々の事情への配慮や丁寧な説明がなく、相当性を著しく欠いている」と指摘。「職員が受け入れるべき範囲を著しく超えた不利益を負わせており、違法」と結論付けた。


[編注、コメント]

これから家族介護を必要とする社員の転居を伴う配転が、人事政策上の課題になっていく可能性がある。
本件もその関連判決の一つ。



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定額残業制の取扱に関する最高裁判決と通達

2017.09.30
(定額残業制の取扱に関する最高裁判決と通達)

 高額年俸には残業代を含むとする合意があっても、「どの部分が時間外賃金にあたるかが明らかになっておらず、支払ったということはできない」

 2017.7.7の最高裁判決を受け、定額残業制の取扱に関する通達が発出されています。
 以下、通知本文(判決文省略)を掲載します。


 平成29年7月31日付け基発0731第27号「時間外労働等に対する割増賃金の解釈について」(厚生労働省労働基準局長から都道府県労働局長あて「通知」)

(通知本文)
 割増賃金を基本給や諸手当にあらかじめ含める方法で支払うことについて、平成29年7月7日付けで、最高裁判所第二小法廷において別添の判決が出された。
 名称によらず、一定時間分までの時間外労働、休日労働及び深夜労働に対する割増賃金として定額で支払われる賃金については、不適切な運用により、労働基準法上の問題が生じる事例も発生していることから、この判例を踏まえ解釈は下記のとおりとするので、監督指導等の実施にあたっては遺憾なきを期されたい。

                        記

 時間外労働等に対する割増賃金を基本給や諸手当にあらかじめ含める方法で支払う場合には、通常の労働時間の賃金に当たる部分と割増賃金に当たる部分とを判別することができることが必要であること。
 また、このとき、割増賃金に当たる部分の金額が労働基準法第37条等に定められた方法により算定した割増賃金の額を下回るときは、その差額を支払わなければならないこと


(以下「平成28年(受)第222号 地位確認等請求事件、平成29年7月7日 第二小法廷判決」掲載、=下記URLから直接ご確認ください。)


[編注、コメント]
判決要旨(参考)
最高裁判決20170707
( ↑ クリックすると拡大表示できます)



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JR福知山線脱線事故「3社長の無罪が確定」(最高裁)

2017.06.25
JR福知山線脱線事故
3社長の無罪が確定(最高裁判決)2017.6.12




 JR福知山線脱線事故

 2005年4月、乗客106人が死亡したJR福知山線脱線事故で、業務上過失致死傷罪で強制起訴された(一審無罪・二審無罪)JR西日本の歴代3社長に対して、2017.6.12最高裁第2小法廷で無罪判決があり、これで歴代さ3社長の無罪が確定した。

 最高裁は、判決で「事故以前はカーブにATSを設置する義務はなく、社長が個別のカーブの情報に接する機会は乏しかった。」と指摘し、ATS設置を指示する注意義務はなかったとした。
JR福知山線3社長最高裁
( ↑ 日本経済新聞2017.6.14朝刊紙面)


 [編注、コメント]

 「だれ一人刑事事件を負わないのはおかしいと思うのはもっともだが、個人の責任追及は厳格に考えなければいけない」とは本事件の一審裁判長の言葉! 自然人個人の刑事責任追及には限界があるのが現実。「企業責任を問う法律の仕組みが検討されて良い」という声が強い。
 なお、二審判決に関する記事は、下記URLを参照してください。
 → http://laborstandard.blog82.fc2.com/category19-2.html#entry502


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発注工事の労災事故で市に8,900万円賠償命令(津地裁)

2017.06.22
発注工事の労災事故で
市に8,900万円賠償命令
(津地裁)


 津市発注の道路整備工事の際、石壁の崩落で左足を切断した作業員の男性(51)が、市に計約1億300万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が29日、津地裁であった。
 岡田治裁判長は市の安全配慮義務違反を認め、計約8,900万円の支払いを命じた。
 岡田裁判長は、工事を監督していた市職員が安全対策や工事の一時中止を指示しなかったと認定した。市は、安全確保義務は受注した施工業者が一義的に果たすべきだと主張したが、同裁判長は退けた。判決によると、男性は2012年3月16日、道路工事の掘削作業中に斜面が崩れないように積まれた石の崩落に巻き込まれ、大けがのため左足を切断した。(以下省略)(2017,5,29、時事通信記事から)


 [編注、コメント]
 工事の発注者である「市」の損害賠償を認めた裁判例。



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