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労務安全情報センター[ブログ]

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2012年08月の記事一覧

36協定(時間外・休日労働に関する労使協定)の不正手続き

2012.08.21
36協定(時間外・休日労働に関する労使協定)の不正手続き

東京新聞が2012.5.17及び2012.6.1に、ワタミの残業手続きの不備についての問題を記事にしている。
 (記事は、法的にも的確な指摘になっている)

問題は、
ワタミが全国530店舗で締結している36協定について、
同社には労働組合がないのであるから、店舗ごとに社員や アルバイトの過半数の推薦を得た代表と結ぶことになる(が、)

この過程で、


1) 「店長がアルバイトの中から代表を指名し、 協定届に署名させている」


2) 36協定には「挙手で選出」と書いているが、「実態として行っていなかった」。


など、労働者の過半数代表者の選出に問題があり、労使協定が形骸化している実態を指摘している。東京新聞は、このような実態を捕えて「ワタミフードサービス(東京)が不正な手続きで従業員に時間外労働させていた」と報じている訳だ。


[編注,コメント]

「不正な手続きで従業員に時間外労働をさせていた」(東京新聞)

これは、より厳密には、

「会社にとって36協定の相手方である労働者の過半数を代表する者が、その要件を満たしていない場合、当該36協定が法的効果を持たないこととなり、結果、無効な36協定を根拠として命令された時間外労働は違法残業となる」。ということである。


36協定の形骸化の問題は、深刻である。

この問題は、ワタミだけに限らず、企業の大小を問わず、わが国企業に共通する問題となっている。

労働組合の組織率が低いうえに、わが国では、労使自治、労使協定(労使が話あってものごとを決めていく)の制度が機能しにくい土壌があるようだ。
この問題は労働者の健康確保の課題とも関連する。安全配慮義務との関係からも、法制面の再検討が必要と思われる。






関連情報 (参照してください)


○ 過半数代表の条件を満たさない者との36協定で「違法残業」(書類送検)
  → http://laborstandard.blog82.fc2.com/blog-entry-342.html

○ 三六協定の基礎知識-10のポイント
  → http://labor.tank.jp/sanrokukyoutei.html




(参考)
2012.5.17及び2012.6.1の東京新聞記事を参考掲載します。


【1】 2012年5月17日 東京新聞記事から


残業で不正手続き ワタミ過労死 労使協定形だけ


 「 居酒屋チェーンを展開するワタミフードサービス(東京)に入社二カ月後に自殺した森美菜さん=当時(26)=が、 長時間労働などを理由に過労死と認定された問題で、同社が労働基準法で定められた労使間の手続きを踏まず、 従業員に時間外労働をさせていたことが、会社側への取材で分かった。手続きが形骸化すれば、 経営者側の思うままに従業員側に長時間労働を強いることも可能だ。同様の違反はほかの企業でもみられ、 専門家は「適正な手続きが担保されないと、過労死を助長しかねない」と警鐘を鳴らす。

  この手続きは「時間外労働・休日労働に関する協定(三六(さぶろく)協定)」。 厚生労働省労働基準局監督課は、ワタミフードサービスについて「適正なやり方とは言えず、 労基法に抵触する」と指摘している。 労基法上、時間外労働は禁じられているが、労使間で三六協定を結べば認められる。 三六協定を結ぶには、経営者側は店や工場ごとに労働組合もしくは、従業員の過半数の 推薦で選ばれた代表との合意が必要となる。

  ワタミフードサービスは毎年、「和民」など全国五百三十のチェーン店(四月一日現在)で 三六協定を結んでいる。同社は労働組合が無く、協定を結ぶには、店舗ごとに社員や アルバイトの過半数の推薦を得た代表と合意しなければならない。しかし、実際は違った。

  親会社ワタミの法令順守部門を担当する塚田武グループ長は「店長がアルバイトの中から代表を指名し、 協定届に署名させている」と、手続きが形骸化していたことを認めた。

  同社は全店の協定届に、従業員の代表を「挙手で選出」と明記していたが、 塚田氏は「挙手している前提で記載していたが、実態として行っていなかった」と釈明した。」



【2】 2012年5月17日 東京新聞記事から


労働条件 言うがまま 協定 店長指示でバイトが署名


 「 あらかじめ時間外労働の上限時間が書き込まれた三六協定届に、店長の指示でアルバイトが署名する-。新入社員森美菜さんが過労自殺したワタミフードサービスでは、違法な手続きで、従業員に時間外労働させていた。会社から一方的に提示された労働条件を、受け入れるしかない従業員。労使対等とは名ばかりの実態が浮き彫りになった。


  森さんが働いていた「和民京急久里浜駅前店」(神奈川県横須賀市)。この店の三六協定届には、労使協定を結ぶ労働者側の代表は、「挙手による選出」と印字されていた。しかし、男性アルバイトは「協定届を見たことはないし、挙手で代表を選んだこともない」と打ち明ける。


  「会社側から三六協定の説明を受けたことはない」。首都圏で店長や副店長を務めた男性(30)も、そう証言する。男性は同意した覚えのない協定届を根拠に、毎月三百時間ほど働いていた。


  ある現役店長は「全従業員の意思を確認する時間もない」と明かす。自分の店の時間外労働の上限を知らない店長までいた。


  ワタミによると、毎年の協定更新の際、店長が経験の長いアルバイトの中から代表を指名。すでに時間外労働の上限時間が記載された協定届を印刷し、アルバイトが署名をして本社に返送するやり方が常態化していた。


  ワタミの辰巳正吉・ビジネスサービスグループ長は「大きな不都合やクレームは起こらなかったので、踏襲してきてしまった」と話している。」


【3】 2012年6月1日 東京新聞記事から


<過労社会>和民に労基署勧告 不正な残業是正を


  「 居酒屋「和民」などをチェーン展開するワタミフードサービス(東京)が不正な手続きで従業員に時間外労働させていた問題で、労働基準法に抵触すると判断した労働基準監督署が五月下旬、関東地方の和民など三店舗に是正勧告したことが分かった。

  親会社のワタミによると、是正勧告を受けたのは、二〇〇八年に過労自殺した森美菜さん=当時(26)=が働いていた神奈川県横須賀市の店舗も含まれている。ワタミフードサービスは既に改善報告書を労基署に提出した。

  企業が従業員に時間外労働をさせるには、労働基準法三六条に基づき、労使間で労働時間の上限などについて合意した「三六(さぶろく)協定届」を労基署に提出しなければならない。ワタミフードサービスの場合、店舗ごとに従業員の過半数の同意で選ばれた従業員の代表が、会社側と三六協定を結ぶ必要がある。

  同社の三六協定届には、従業員の代表者について「挙手で選出」と記載されていたが、実際は店長がアルバイトの中から代表を指名する不正なやり方が常態化していた。

  ワタミの担当者は本紙の取材に「今後は、店長が従業員の中から代表を推薦し、書面で過半数の従業員から同意を得る選出方法に改める」と説明した。ワタミフードサービスは六月末までに全店の協定届を出し直す方針。

  ワタミフードサービスの不正な手続きを指摘した本紙の報道を受け、厚生労働省は五月十八日付で全国の労働局に、労基署で三六協定届を受け付ける際、労働者側代表の選出方法について不正な疑いがあれば、窓口で確認を取ることを徹底するよう通達を出した。 」




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大手和食「がんこ」を書類送検--残業代なし固定給は「創業以来の慣習」だった

2012.08.21
 (事件の概要)

 「 大手和食チェーン”がんこフードサービス”(大阪市淀川区)が、従業員の残業代や割増賃金を支払わなかったなどとして、大阪労働局は2012.5.29、労働基準法違反(編注 割増賃金不払い、賃金台帳等虚偽記載)の疑いで、同社と志賀茂社長(65)や専務(40)らを大阪地検に書類送検した。

 労働局によると、従業員らは実際の残業時間にかかわらず固定給だった。

 同社が虚偽の報告をするなど悪質だったため、書類送検に踏み切った。

 志賀社長は容疑を認め「(固定給は)創業以来の慣習で、当たり前だと思っていた。不適切だった」と話しているという。

 送検容疑は昨年4~7月、「岸和田五風荘」(大阪府岸和田市)の従業員5人に違法な残業をさせ、残業や深夜労働に対する割増賃金など計約100万円を支払わなかった疑い。また、昨年7月と10月、岸和田労働基準監督署に虚偽の労働時間を記入した賃金台帳などを提出した疑い。
 同法は、法定の労働時間を超える残業や深夜労働については割増賃金を支払うよう定めている。同署が本社へ抜き打ちの立ち入り調査をした際には、別室で未記入の台帳に虚偽の労働時間を書き込んでいた。(スポニチ 2012年5月29日記事から)」



[編注,コメント]

 「(固定給は)創業以来の慣習で、当たり前だと思っていた」との社長の言。
 和食職人の世界では、その慣習が根強く残っているのは事実だが、、、
 オープンな場で法律適用の議論となったら、アウトということだろう。

 しかし、労基署に虚偽の労働時間を記入した賃金台帳などを提出するといった行為は、違法性を認識していた「?」ともいえる訳で、単純な無知から法に触れる行為を行ったということでもなさそうだ。



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労働時間規制の「大きな抜け道」

2012.08.18
 以下は、平成24.7.28付け東京新聞社説の(抜粋)である。

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(写真は本文と無関係です)

「労働基準法(では)労働時間は原則として一日8時間、週40時間までとされている。
 ところが、
 大きな抜け道が残されていた。
 経営側と労働側が残業や休日出勤の上限を決めて協定(編注/三六協定)を結べば、原則には縛られないという仕組みだ。

 (実態)
 東証一部上場の売り上げ上位100社(2011年決算期)を本紙(東京新聞)が調べたところ、7割が月80時間以上の残業を認める36協定を結んでいる実態が分かった。
 トップは大日本印刷の月200時間
 次いで関西電力の月193時間、
 日本たばこ産業(JT)の月180時間と続いた。」等の記述。

 なお、社説全文は以下のURLを参照してください。
 → http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012072802000124.html


[編注、コメント]

 三六協定は、そこで定めた労使協定の時間を超えて労働することがあったなら、「労働基準法の罰則を適用」するというものだ。
 法的には、「免罰的効果」を持つ条項である。
 その場合、必然として、企業は「実残業」があるかどうかは別に、協定時間の工夫ひとつで罰則の適用を免れることができるのなら、と、仮にもこれを超えることはないという時間をめざして協定化を図ろうとする。(大企業、組織のしっかりした会社、官僚的な会社であればあるほど、そのような傾向に陥る。)
 
 単純にいえば、これが、「7割が月80時間以上の残業を認める36協定を結んでいる実態」の背景だ。

 これは、東京新聞社説がいうように、
 「いずれも日本を代表する企業だ。過労死や過労自殺を招きかねない働き方が常態化しているとすれば見過ごせない。長引く不況で人員削減が進み、一人当たりの仕事量が増える傾向にある。」
 というように「実労働」をそのまま反映したものではないのだが、やはり、36協定の在り方としては問題だろう。

 法制面の補強措置がとられるのが一番だが、
 その方法の一つとして、同社説でも指摘されている「勤務間インターバル規制」(*)が検討されのは良いことだ。(少なくとも、実運用の場面を想定したシュミレーションを行いながら、導入の是非を検討すべき時期かも知れない。)


(*) 「勤務間インターバル規制」=欧州連合(EU)では終業から翌日の始業までに11時間以上の休息を取るルールがある。



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パート勤務-「週20h以上、月収8.8万以上」「500人以上の事業所」で社保適用へ

2012.08.18
 平成24.8.10、パート労働者への社会保険の適用拡大等を含む法律改正案が、参議院本会議で可決・成立した。
  
 <厚生年金保険法および健康保険法関係>

1)以下の要件を備える者を、厚生年金保険および健康保険の被保険者とする(学生は適用除外)。
イ 1週間の所定労働時間が20時間以上であること。
ロ 報酬月額が88,000円以上(年収106万円以上)であること
ハ 1年以上使用されることが見込まれること
ニ 通常の労働者およびこれに準ずる者(編注 4分の3要件を満たす労働者)の総数が常時501人以上の事業所であること

 → 4年後の平成28年10月から施行
 厚生労働省では、適用拡大の対象となるのは約25万人であるとしています。

2)産前産後休業期間について、申し出により、事業主および被保険者の保険料を免除する。

 → 2年を超えない範囲内で政令で定める日から施行



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注目される国土交通省の「建設業における社会保険未加入問題への対策」

2012.08.11
 国土交通省から、新たな「建設業における社会保険未加入問題への対策」が示されている。
 平成24年7月又は11月から施行が予定されている。


1] 建設業の許可申請書の添付書類への保険加入状況の追加
建設業法に基づく許可申請時に、健康保険等(*健康保険、厚生年金、雇用保険をいう。)の加入状況を記載した書面の提出を求めることとし、当該書面の様式を整備する。

2] 施工体制台帳等の記載事項への保険加入状況の追加

3] 経営事項審査における保険未加入企業への減点措置の厳格化 

 具体的には、
 ○評価項目のうち「健康保険及び厚生年金保険」を、「健康保険」と「厚生年金保険」に区分し、各項目ごとに審査することとする。
 ○「雇用保険」、「健康保険」及び「厚生年金保険」の各項目について、未加入の場合それぞれ40点の減点(3保険に未加入の場合120点の減点)とする。


 施行日 3]は平成24.7.1から、1]2]は、平成24.11.1から施行される


 なお、以下のURLから国土交通省のホームページから関連情報を直接確認することができる。

 → http://www.mlit.go.jp/report/press/totikensangyo13_hh_000156.html




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