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福島第1原発「作業員の被ばく管理も手に負えない状況なのか」

2011.06.15
 福島第一原発の作業員放射線被ばく管理には、問題が山積しているようだ。
 この問題では、6月14日、毎日新聞が現状を的確にまとめて記事にしているので、転載し紹介する。

 あわせて、福島第一原発事故に伴う「労働安全衛生法(電離則)の放射線被ばく線量の上限緩和の経緯について」ふり返り、確認しておきたい。


毎日新聞作成
「被ばく線量の分布」
※対象3726人中、第1次評価分
毎日新聞20110614

福島第1原発:作業員内部被ばく100ミリシーベルト限度
毎日新聞 2011年6月14日 14時20分

 東京電力福島第1原発の緊急作業で、被ばく線量が限度の250ミリシーベルトを超えた東電社員が新たに6人判明し、計8人となった問題で、細川律夫厚生労働相は14日、内部被ばくで100ミリシーベルトを超える作業員を作業から外すよう東電に指示した。同省は13日に内部被ばくと外部被ばくを合わせて200ミリシーベルト超の東電社員ら計12人を外すよう指示しており、東電は厚労相の指示を受けてさらに20人前後を作業から外す見通し。

◇厚労相、東電に指示

 細川厚労相は14日の閣議後会見で「250ミリシーベルトを超えるような方がさらに増えたのは大変遺憾に思っている」と不快感を表明した。同省は今後も、内部被ばく100ミリシーベルト超で緊急作業から外すよう東電を指導していく。

 緊急作業での被ばく問題で同省は、東電の40代と30代の男性社員2人の被ばく線量計が精密検査で600ミリシーベルト台だったとして10日に是正を勧告。さらに13日、震災発生時から緊急作業に従事していた東電社員や協力会社員2367人の簡易検査結果の報告を東電から受け、この中で内部被ばくと外部被ばくの合計で250ミリシーベルト超が新たに6人判明した。

 報告ではこのほか
▽200ミリシーベルト超~250ミリシーベルトが6人
▽150ミリシーベルト超~200ミリシーベルトが21人
▽100ミリシーベルト超~150ミリシーベルトが67人。

 合計200ミリシーベルト以内でも内部被ばくだけで100ミリシーベルト超の該当者は20人前後に上った。厚労相は内部被ばくが深刻に影響しかねない点を考慮し厳しく指導する姿勢を示したとみられる。

 同省によると、原発事故を収束させる緊急作業には、震災以降これまでに計約7800人が従事。東電は、このうち線量が高いとみられる震災直後から従事していた3726人について暫定的な被ばく線量の確定を急いでいる。しかし、震災発生から3カ月が経過した13日の時点でも報告は2367人どまりだ。

 今後の作業への影響について松本純一原子力・立地本部長代理は会見で「全面マスクなど放射線管理はしており、現在の作業状況からみると、作業員が足りなくなる事態にはない」との見方を示した。

◇解説…防護策の徹底求め

 厚生労働省が作業員の「内部被ばく」の線量が100ミリシーベルトを超えた場合、緊急作業から外すよう東電に徹底させたのは、緊急時の特例として引き上げられた線量限度250ミリシーベルトを超えた作業員8人のうち、内部被ばく量だけで上限を超えていたのが6人に上るなど、東京電力の管理の甘さにある。

 内部被ばくは、放射性物質を吸い込むなどして体内で継続的に被ばくする。時間と共に排せつされ、排せつも含めた「半減期」は成人ではヨウ素131で約7日、セシウム137で約90日だが、白血球の一時的な減少や、がんの発生確率がわずかに上がる恐れがあり、健康への影響が心配される。

 内部被ばくは「ホールボディーカウンター」という機器で測定する。しかし、福島第1原発にある4台は空気中の放射線量が高すぎて正確に測定できず、主に福島県いわき市の東電施設2台でしか検査できない。結果が判明するまで約1週間もかかるなど実態把握が遅れている。

 今回の厚労省の指示は、東電の管理体制が不十分なためのものだが、検査や対策に手間取れば今後の作業への影響が懸念される。東電には長期にわたっての健康管理はもちろんのこと、再発防止のため防護策の徹底が求められる。



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 上限規制緩和の経緯

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福島第一原発事故と労働安全衛生法(電離則)の放射線被ばく線量の上限緩和の経緯について


わが国における放射線被ばくの限度基準(電離則)

 労働安全衛生法を受けた電離放射線障害防止規則(昭和47..9.30労働省令41号)では、放射線被ばく限度基準を概要、次のように定めている。

(1) 作業者は「5年間につき100ミリシーベルトを超えず、1年間につき50ミリシーベルトを超えないこと(目と皮膚については別途規制)。
(2) 妊娠する可能性のある女性は、3か月に5ミリシーベルトを超えないこと
(3) 事故に伴う緊急作業を行うときは、(1)にかかわらず,100ミリシーベルトをこえないこと

 厚生労働省は、福島第1原発の事故を受けて、上記の基本規制のうちまず(3)の福島第一原発事故時緊急作業に伴う上限規制を「100→250」に引き上げた。

 その後、同福島第一原発事故に関しては、(1)の1年間につき50ミリシーベルトの上限規制を適用しないこととした。したがって、現在、福島第1原発における放射線業務従事者の被ばく限度管理は、原則として、(1)前段の「5年間につき100ミリシーベルトを超えない」という上限規制を基本に運用されていることになる。

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 以上の上限規制(250ミリシーベルトと5年間につき100ミリシーベルト)の適用について、当初、次のような見解のズレガあった
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 前記(3)の「緊急作業において(100を改定した後の)250ミリシーベルトを超えない」とした数値が、そもそも、(1)の5年間につき100ミリシーベルトを超えない」とする数値の別枠かどうかをめぐって、見解のズレガ表面化しているという。


(以下、関連新聞記事から)

 東電ではこれまで、福島第一原発での作業で浴びた被曝線量は「5年間で累積100ミリ・シーベルトという上限とは、別枠だと考えている」(松本純一・原子力立地本部長代理)と説明してきた。
 
 東電を指導する原子力安全・保安院も「非常時の作業をどう考えるか、厚労省とも相談したい」(西山英彦審議官)などと是正を求めず、同原発で浴びた被曝線量をどのように扱うか、解釈が混乱していた。(毎日新聞2011.4.21等の記事)

 これに対して、厚生労働省は、5年間で100ミリシーベルトを超えた作業員は、同原発での作業期間を含む5年間は他の原発などでの放射線業務に従事させないよう、全国の労働局に通達した(2011.4.28)。

 厚生労働省はこの通達で、5年間で100ミリシーベルトを超えないとする上限規制は、緊急時の作業を含む基準値だというする見解を改めて確認しているが、これは、平成13.3.30基発第253号通達等の内容を再確認したものあり、特に新たな見解を示したものではない。

 東京電力がこれを承知していないことはあり得ないが、前記の「別枠だと考えている」(松本純一・原子力立地本部長代理コメント)とのコメントを発した背景はわからない。



 なお、厚生労働省が明らかにした、過去の原子力発電所におけるがん発症の労災認定者10人の累積被ばく線量値をみると、以下のとおりであるという。

 (がん発症の労災認定者の累積被ばく線量値)

 過去の原子力発電所におけるがん発症の労災認定者の累積被ばく線量値(白血病6人129.8~5.2ミリシーベルト、多発性骨髄腫2人70.0及び65.0ミリシーベルト、悪性リンパ腫も2人で、それぞれ99・8、78・9ミリシーベルト)であった(2011.4.28共同通信)

 この状況からは、累積被ばく線量の管理は、緊急作業への対応は対応として、被ばく線量を安易に引き上げることはせず、「5年間で100ミリシーベルトを超えないとする基準の堅持」を主張する厚生労働省の方針は、妥当なところであろう。


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