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裁判例の記事一覧

「定年後再雇用での賃金減額は一般的で、社会的にも容認されている」-東京高裁

2016.11.08
「定年後再雇用での賃金減額は
一般的で、社会的にも容認されている」

東京高裁判決

 2016.11.2、東京高裁は、定年後に再雇用されたトラック運転手3人が、同じ仕事をしているのに賃金を3割引き下げられたのは違法として訴えていた事件で、一審の東京地裁判決を取り消しす逆転判決を言い渡した。


以下は時事通信が2016.11。2配信した記事です。

[判決要旨]

 「定年後に嘱託社員として再雇用されたトラック運転手3人が、職務内容は同じなのに賃金を約3割引き下げられたのは違法として、勤務先の運送会社「長沢運輸」(横浜市)に是正を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁(杉原則彦裁判長)は2日、引き下げは違法として差額の支払いなどを命じた一審東京地裁判決を取り消し、原告の訴えを棄却した。

 杉原裁判長は「定年後再雇用での賃金減額は一般的で、社会的にも容認されている」と述べた。
原告側弁護団は「減額が一般的だとしても、通常は職務内容や責任が変わっている。『社会的に容認』とする根拠は何もない」と批判しており、上告する方針。

 判決によると、3人は長沢運輸で長年、正社員としてセメント輸送に従事。60歳で定年を迎えた後は、1年ごとの嘱託社員として再雇用されたが、賃金を引き下げられた。

 2013年施行の改正労働契約法20条は、有期雇用社員と正社員との間で、労働条件の不合理な格差を禁じている。一審は、定年後の再雇用社員に同条の適用を初めて認めた判決として注目されていた。

 長沢運輸の話 会社の主張が正当に認められたと理解している。」(時事通信)


 [編注、コメント]

 高年齢者雇用安定法において、65歳までの雇用の維持を最大の狙いに、処遇は企業に対して柔軟な対応を認めた趣旨に照らせば、大筋において、妥当な判決ではある。



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「定年退職後の再雇用の職種として事務職に清掃業務を提示」=継続雇用の実質を欠く

2016.10.18
以下は、2016.9.29共同通信の配信記事。

記事タイトル
 「事務職に清掃業提示は違法 トヨタに賠償命令、高裁

判決概要
 「トヨタ自動車で事務職だった元従業員の男性(63)が、定年退職後の再雇用の職種として清掃業務を提示されたのは不当として、事務職としての地位確認と賃金支払いを求めた訴訟の控訴審判決で、名古屋高裁(藤山雅行裁判長)は28日、請求を棄却した一審判決を一部変更し、約120万円の賠償を命じた。地位確認は認めなかった。

 裁判長は判決理由で、全く別の職種の提示は「継続雇用の実質を欠き、通常解雇と新規採用に当たる」と判断。高齢者の継続雇用を巡る裁判で企業の賠償責任が認められるのは異例。

 トヨタ自動車は「主張が認められず残念。今後の対応は判決を精査して判断する」としている。」[共同通信]


[編注、コメント]

 高年齢者雇用安定法の運用面で違法性を問う訴えに対する判決が、徐々に出てくる時期に入ってきたようだ。
 単に、年金支給時期の繰り上げに応じて、65歳までの「継続雇用」が確保されれば、処遇条件は柔軟に対応して可。というのが法の趣旨ではあるが、継続雇用が確保されれば、他はすべて企業の事由に任せる趣旨ではないとする考えの判決である。
 事務職に、清掃業務を提示? 共同通信の配信記事からは事件の背景までは読めませんが、、、。



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シエスパ爆発事故で有罪確定(最高裁)

2016.06.04
記事タイトル
大成建設社員の有罪確定へ=シエスパ爆発事故

2016.5.31最高裁判決紹介
「 東京都渋谷区の温泉施設「シエスパ」で2007年6月、ガス爆発が起き従業員3人が死亡した事故で、業務上過失致死傷罪に問われた大成建設社員角田宜彦被告(58)について、最高裁第1小法廷(大谷直人裁判長)は25日付で、被告の上告を棄却する決定をした。

禁錮3年、執行猶予5年とした一、二審判決が確定する。

被告は施設の設計担当者で、無罪を主張していた。第1小法廷は「施設管理会社側に、爆発を防ぐための作業の必要性を説明する義務があったのに怠った。同じ社内の施工担当者にも十分な情報を伝えなかった」と指摘した。 」(2016.5.26時事通信)


[編注、コメント]

事故発生が2007年6月だから、満9年になるのか!




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定年後再雇用、「同じ業務と責任で賃金ダウンは違法」(地裁判断)

2016.05.16
2016.5.13 東京地裁判決
横浜市の運送会社



マスコミ報道等による判決概要は次のとおり


定年後に再雇用されたトラック運転手の男性3人が、「定年前と同じ業務なのに賃金を下げられたのは違法だ」として、勤務先の運送会社を訴えた事件の判決が2016.5.13日、東京地裁であった。

判決によると、3人は正社員として同社に21から34年間勤務した後、2014年に60歳の定年を迎えた。
その後、1年間の嘱託社員として再雇用されたが、(※セメントを輸送するという)仕事内容は定年前と全く同じだったが、年収が定年前と比較して約3割程度下がった。
このケースで判決は、「業務の内容や責任が同じなのに賃金を下げるのは、労働契約法[※第20条]に反する」と認定。定年前の賃金規定を適用して差額分を支払うよう同社に命じたもの。

判決は「雇用の確保のため企業が賃金を引き下げること自体には合理性があるが、財務状況などから今回はその必要性はなかった」、「再雇用時の賃下げで賃金コスト圧縮を必要とするような財務・経営状況ではなかった」ことを認定し、判断理由としている。


(以上は、NHK,日本経済新聞、朝日新聞デジタル等のマスコミ報道の記事を参照し、当方の責任でまとめました。)
※編注です



 [編注、コメント]

 被告の運送会社は、「会社が定年前と同じ条件で再雇用しなければならない義務はなく、不合理な賃金ではなかった」と主張していたという。
 この主張は、高年齢者雇用安定法の規定趣旨にもあり、会社は、(裁判で)当社は高年齢者雇用安定法が「規定するとおり」に定年後再雇用制度の運用を行っているに過ぎないと主張したものと思われる。

 高年齢者雇用安定法は、実質的な(65歳までの)雇用継続さえ達成されるなら、定年後の労働条件は労使の決めに委ねるという立場を鮮明にしていた。

 しかし、現在の日本で労働条件の決定を労使の自主的な話し合いに委ねることは、使用者の優位な立場を反映した決定に納まり易い。「業務内容が同じなのに賃金が下がる」ことへの労働条件の変更は、(力関係からは)いわば必然の事象である。

 判決が(新聞報道で読む限り)、「雇用の確保のため企業が賃金を引き下げること自体には合理性があるが、財務状況などから今回はその必要性はない」を述べているが、「財務状況」がこの場面で持ち出されることには疑問もある。但し、定年後再雇用の「雇用形態、形式、労働態様は様々」であり、その態様に応じて労働条件の引き下げの是非や程度が議論の遡上に上ることには、賛成したい。
 また、それは高年齢者雇用安定法の趣旨に反するところでもない。



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HIV感染を理由に休職指示は、病院の仕事であっても違法(最高裁確定)

2016.04.17
 HIV感染を理由に休職指示
 =最高裁三小法廷で違法判断が確定
 =2016.3.29



以下は、2016.3.31付け時事通信配信記事による
記事タイトル「HIV休職指示、違法確定 勤務病院に賠償命令/最高裁」
(判決結論)
 エイズウイルス(HIV)に感染した看護師が、勤務先の病院で本人の同意なく感染情報が共有され、上司から休職を指示されたのは違法として、病院を経営する福岡県の医療法人に損害賠償を求めた訴訟で、違法と認めた二審判決が確定した。
 最高裁第3小法廷(山崎敏充裁判長)が29日付で医療法人側の上告を退ける決定をした。


1 (事実経緯は)
① 看護師は2011年8月、勤務先とは別の病院での検査で感染が判明。結果は勤務先に伝わり、看護部長らから仕事を休むよう指示され、同年11月に退職した。勤務先に約1,000万円の賠償を求め提訴し、検査結果を伝えた病院との間では和解が成立した。

② 福岡地裁久留米支部は「HIV感染者に対する偏見や差別はまだあり、感染は他人に知られたくない情報だ。同意を得ないで診療目的以外の労務管理に利用することは許されない」として約115万円の賠償を命令。
③ 福岡高裁は「病院は勤務内容を変更して働くことも可能と説明している」として、賠償額を約61万円に減額した。

2 (厚労省ガイドラインは)
  厚生労働省のガイドラインは、HIV感染は解雇の理由にならないと明記。
  雇用側は労働者の感染情報の秘密保持を徹底し、健康ならば他の人と同じ処遇で扱い、感染リスクの高い医療従事者でも基本的に変わらないとしている。


 [編注、コメント]

 検査結果を伝えた病院とは和解成立。休職を指示した勤務先との係争についての今回の判決!
 5年前の事件(当時はHIVを巡って、裁判例のような混乱があったということだ。)



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